清水坂を上る
観光客用の巨大駐車場のある辺りから、道の名前も「清水坂」に変わるようです。
観光客も俄然増えてきます。有名なので仕方ない。では上がっていきましょう。
五条坂から上ってくる道との三叉路に到着しました。路線バスで清水寺に来る観光客は、この道を上ってきます。
ここからまた一段と混むようになりました。修学旅行生もめちゃくちゃ多いぞ。
産寧坂に寄り道
ここでまた産寧坂へ寄り道します。三年坂とも言いますが正しくは産寧坂。
またまた轟川を発見。左側に橋の欄干のようなものも見えますね。
轟川の上流方向。ここはブラタモリで取り上げられたらしい。
轟川の下流方向。案内板までありました。
ちなみに一寸法師がお椀に載って上がってきたのは轟川という説もあります。
また清水坂を東へ
清水坂に戻りました。もはや満員電車なみです。
歩いていくと、すぐ左側に真福寺大日堂。
真福寺大日堂には、東日本大震災の際に流れ着いた陸前高田の松の流木を使って掘られた大日如来坐像が祀られています。
今度は寶徳寺。この道にも次々と古刹が現れますが、誰も見向きもせず上がっていきます。
清水寺に到着
ようやく清水寺が見えてきました。バスガイド、修学旅行生、レンタル着物の観光客・・・
入口手前の右側に、子安塔跡を示す石柱が建っています。移転前の子安塔はここにありました。
子安塔跡石柱をアップ。
江戸時代に書かれた子安観音縁起によると、子安塔の浴室を訪れた癩者の身体を、光明皇后が洗ってあげたところ、仏の姿に変身した、との伝説があります。
この先の「音羽の滝の水によって癩病が治癒する」との伝承まで含めて考えると、まさにここは"癩者(すなわち弱者)を救済するための道"と言えそうです。
では清水寺へ
お参りにいきましょう。清水寺へ。
まずは地蔵院善光寺堂から。
続いて清水寺の舞台。あまりにも有名ですね。
舞台奥にいらっしゃる観音様も拝みました。
この観音様こそ、弱者を救済してくださる方ですね。
清水寺の奥の院
清水の舞台を奥の院から。この風景こそ京都で一番有名ですね。
山をぐるっと回って「音羽の滝」に着きました。音羽川の水源地でもあります。
先に書いたように「この滝の水によって癩病が治癒する」との伝承があります。
まさに弱者救済の到達点でしょうか。でも本当の到達点はまだ先にあります。
という訳で、舞台下を通って、お寺の入り口へ戻っていきましょう。
最終到達地点の大谷墓地へ
あまり知られてませんが、清水寺境内から直接墓地へ抜ける出入口があるのです。
ではこの門扉を通って、広大な墓地へ行きましょう。そここそ実は到達点でした。
本当に驚くほど広大な墓地が広がります。清水寺のすぐ隣がこうなってるなんて、ほとんどの観光客は知らないと思います。
鳥辺野の葬送地
この鳥辺野で葬送にまつわる仕事をしていたのは清水坂非人と呼ばれた人たち。彼らは忌み嫌われる仕事をしていました。
実は、その仕事をさせていたのは清水寺です。
でも逆にいうと、清水寺によって、彼らは安定的な収入を得ることができた、とも言えるわけです。
それどころか清水寺は、葬送に関する仕事の一切の独占権を彼らに与えていたのです。
清水寺は、非人という社会的弱者の生活の保証までしていた事になります。
広大な鳥辺野の葬送地。ここが最終到達地点です。
火葬が一般化するまでは、ただ死体を捨てて、鳥に任せるのみでした。(民族学用語で鳥葬と言います)
やがて、ここに捨てられた死体は、"聖なる鳥"が極楽浄土へ連れてってくれると信じられていました。
音羽川を下る
鳥辺野の墓地の下に、音羽川が流れているので寄りました。
他の人の遡行記を見ると、砂防ダムが幾つもあるらしい。という事は頻繁に土石流が発生していたはず。
という事は下流で扇状地も形成していたはず。しかし今の地図や空撮を見ても扇状地はよく分かりません。
とにかく今後の調査が楽しみです。続いて墓地の隣のお寺に行ってみます。
大谷本廟
大谷本廟です。まったく別世界に入ってきたよう。
大谷本廟(その2)。親鸞上人の墓所のある "浄土真宗の聖地" です。
大谷本廟(その3)。敷地内に親鸞聖人由縁の石窟がありました。
大谷本廟(その4)。では石畳の道を歩いて、下界へ戻りましょう。
寄り道しまくった "鳥辺野への道" も、これで終了になります。
鴨川松原橋から清水寺まで通常30分のところ、寄り道しまくったので4時間もかかってしまいました。
最後にもう一度言っておきたいのは清水寺のこと。観光客であふれ、誰もが一度は行った事もあると思います。
しかし、この有名寺院が、実は "弱者救済の寺" だったという事は、ほとんど知られていないと思います。
それも、癩者や非人など歴史上黙殺されてきたような社会的弱者。彼らを救済するのが清水寺の役割でした。
かつて、ただの観光地として行った人も、ぜひそういった視点で、もう一度、清水寺を訪ねてみませんか。
〜 終わり 〜